「ガシャーン!」
リビングに響き渡るプラスチックの音と、それに続く地団駄を踏む激しい叫び声。
また始まった……と、私の心は一瞬で暗く沈んでいきました。
おもちゃのパーツがうまくはまらなかった、たったそれだけのことで、我が子はまるで世界が終わったかのように怒り狂うのです。
「もうやだ!キーーーッ!」と叫びながら、せっかく作ったおもちゃを部屋中に投げ散らかす姿を見て、私はただただ立ち尽くすしかありませんでした。
「どうしてそんなに怒るの?」「何がそんなに気に入らないの?」と聞いても、本人は怒りでパニックになっていて言葉になりません。
近所迷惑になるのではないかとヒヤヒヤし、毎日続くこの激しい怒りに、私の心も体もすっかり疲れ果てていました。「私の育て方が悪いのかな」「他の子はもっと穏やかに遊んでいるのに」と、夜な夜なネット検索をしては、一人でため息をつく日々。
ちょっとしたことですぐに怒りやすい我が子。
でも、ある日、そんな我が子の怒りに隠された「本当の気持ち」に気づくきっかけがありました。
試行錯誤の末にたどり着いた、子どもに寄り添い、怒りを穏やかにしていくための具体的な関わり方をご紹介します。
目次
どうしてそんなことで?子どもがすぐに怒る3つの理由
「そんな些細なことで怒らなくても……」と、大人の感覚では理解できないことで子どもが激怒するのには、実は子どもなりの深い理由がありました。
子どもたちの行動を観察していく中で分かった、怒りの裏に隠された3つの理由をご紹介します。
- 自分の理想と現実のギャップに苦しんでいる:頭の中では「こうしたい」「こうなるはず」という完璧なイメージがあるのに、指先の器用さや体のコントロールが追いつかず、思った通りにできないもどかしさが怒りとして爆発してしまいます。
- 「怒り」以外の感情の表現方法を知らない:子どもにとって、悲しい、悔しい、不安、恥ずかしいといった複雑な感情は、まだ自分自身で正しく認識できません。それらの心の痛みすべてが「怒り」という分かりやすい感情に変換されて表に出てしまうのです。
- 自分の気持ちを言葉にする力(語彙力)が足りない:言いたいことはたくさんあるのに、それを説明するための言葉が見つからない。伝わらないもどかしさが、かんしゃくや怒りとなって表れます。
このように、子どもにとって怒りは「助けて!うまくできない!」というSOSのサインでもあったのです。
そう気づいた瞬間、私のイライラした気持ちが、少しだけ「この子の力になってあげたい」という気持ちへと変化していきました。
つい言ってしまう「怒るのをやめなさい!」が逆効果になる理由
子どもが怒り狂っているとき、ママも人間ですから「いい加減にしなさい!」「そんなことで怒るんじゃないの!」と、つい強い口調で怒鳴り返してしまいがちですよね。
私もかつては、怒る我が子に対してさらに大きな声で怒って制止しようとしていました。
しかし、これは火に油を注ぐようなものでした。
ママに怒られた子どもは、「自分の気持ちを否定された」「ママは僕の気持ちを分かってくれない」と感じ、さらに心を閉ざして怒りをエスカレートさせてしまいます。
また、「これは怒るようなことじゃないよ」と諭すのも、その時の子どもにとっては効果が薄いのです。
なぜなら、子どもにとっては「今、とてつもなく重大で悲しいこと」が起きているからです。
まずはその燃え盛る感情を、そのまま受け止めることから始める必要がありました。
「怒り」は二次感情!裏にある「悲しい」「悔しい」を言葉にしてあげる方法
心理学では、怒りは「二次感情」と呼ばれています。
その底には、恐怖や寂しさ、悔しさ、悲しさといった「一次感情」が必ず隠れています。
私は、子どもが怒り出したとき、まずはその底にある本物の感情(一次感情)に光を当て、言葉にして代弁してあげることにしました。具体的な関わり方の手順は以下の通りです。
- ステップ1:まずは共感する
「そっか、悔しかったんだね」「悲しかったね」と、子どもの表情を見ながら、気持ちをそのまま代弁します。「怒っていること」ではなく、その裏にある「悲しい気持ち」を言葉にしてあげます。 - ステップ2:感情に名前をつけてあげる
「これはね、怒っているんじゃなくて、思い通りにいかなくて『悔しい』っていう気持ちなんだよ」と伝えます。感情に名前をつけてあげることで、子どもは「あ、僕は今、悔しいんだ」と自分の状態を客観的に理解し始めます。 - ステップ3:落ち着くまで待つ
言葉をかけたら、子どもが落ち着くまで静かに寄り添います。大声で泣き叫んでいても、遮らずに「心が落ち着くまで、ママはここにいるよ」と背中をさすったり、抱きしめたりして安心感を与えます。
これを繰り返すうちに、子どもは少しずつ自分の激しい感情に飲み込まれなくなっていきました。「悔しかったんだよー!」と、怒る代わりに泣きながら気持ちを言葉で教えてくれるようになった時は、本当に感動しました。
「それは怒ることじゃないよ」怒る代わりにどう伝える?魔法の練習法
感情が落ち着いたら、次は「じゃあ、次からどうすればいいのか」という具体的な解決策を教える番です。
子どもは、怒ること以外の解決策(コミュニケーション方法)をまだ知りません。
だからこそ、「怒る代わりに、こうやって伝えたらいいんだよ」と、具体的なセリフや行動を教えてあげる必要があります。
- 「手伝って」と頼む練習をする
おもちゃが崩れて怒りそうになったら、叫ぶ前に「ママ、手伝って」と言えば、すぐに手助けしてもらえるという成功体験を積ませます。「困ったときは『手伝って』って言っていいんだよ」と、普段から何度も伝えておきます。 - 「もう一回やりたい」と言葉にする
自分の順番が終わってしまって怒り狂うときは、「もう一回やりたかったんだよね。じゃあ『もう一回やりたいな』って言ってみようか」と促します。 - 悲しい時はママに抱きつく
言葉が出ない時は、怒って物を投げるのではなく、「悲しくなったらママにぎゅーってしにきてね」と避難場所を作ってあげます。
これらの方法を、子どもが落ち着いている穏やかな時間に、まるで劇の練習をするようにゲーム感覚でロールプレイしました。
「おもちゃが倒れちゃったら、なんて言うんだっけ?」「てつだって!」「正解!」といったやり取りを重ねることで、いざその場面になったときに、子どもが怒りではなく「言葉」を選択できるようになっていきました。
ママ自身のイライラを逃すための心の持ち方と寄り添い方
毎日子どものかんしゃくに付き合っていると、どんなに優しいママでもメンタルの限界が来ますよね。
私も、子どもの怒り声を聞くだけで動悸がするほど追い詰められた時期がありました。
そんなママたちに、少しでも心が軽くなるアドバイスをお伝えしたいです。
- 完璧に寄り添おうとしなくていい
毎回丁寧に「悔しかったね」なんて言えなくて当然です。イライラが爆発しそうなときは、子どもの安全を確保した上で、お茶を一杯飲みに別室へ避難しても大丈夫。「ママも今、ちょっとイライラしちゃったから、少しあっちに行くね」と伝えて距離を置きましょう。 - 「成長のプロセス」だと割り切る
我が子が怒りっぽいのは、我が子の心が育とうとしている証拠です。感受性が豊かで、こだわりや「やり遂げたい」という強い意志を持っている、素晴らしい長所の裏返しでもあります。「この子は今、一生懸命感情のコントロールを練習している最中なんだ」と一歩引いて見ることで、気持ちが楽になります。
子どもの怒りを「力ずくで抑え込む対象」ではなく、「表現の未熟さ」として捉え直すことで、ママの負担はぐっと軽くなります。
子どもの「怒り」は大切な成長のサイン!ゆっくり向き合っていこう
ちょっとしたことで怒りやすかった我が子も、この「気持ちの代弁」と「伝え方の練習」を重ねるうちに、今では「もう!うまくできないからママ手伝って!」「ちょっと悔しいからお風呂行ってくる!」と、自分の感情をコントロールして言葉で伝えてくれるようになりました。
あんなに毎日激しくかんしゃくを起こしていた日々が、今では嘘のようです。
子どもがすぐに怒ってしまうのは、決してママの育て方のせいではありません。
また、その子が「乱暴な子」なわけでもありません。
ただ、自分の大きな感情をどう扱えばいいのか分からなくて、困っているだけなのです。
「悔しかったね」「次はこうしてみようか」そんな優しいやり取りの積み重ねが、子どもの心のレジリエンス(回復力)を育て、自分の感情と上手に付き合う力を養っていきます。
今日からできる小さな一歩として、まずは子どもが怒ったときに「悔しかったのかな?」「悲しかったのかな?」と、その裏にある気持ちを想像することから始めてみませんか?
ママの優しい眼差しが、きっと子どもの心を穏やかに解きほぐしていくはずです。
我が子の行動にイライラしてしまう時は、子どもの「もともとの特性タイプ」を知るだけで、毎日の対応がグッと楽になることがあります。
「なんでうちの子はこうなんだろう?」と悩むママへ、家族みんなのタイプがパッと分かって心が軽くなる診断マップをご用意しました。
ぜひこちらから受け取ってみてくださいね。
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