あんなに嬉しそうに遠足の準備をしていたのに、当日お弁当箱を開けることもなく帰ってきた。
楽しそうに周りのお友達がシートを広げる中で、ぽつんと座ったまま頑なに口を閉ざしてしまう我が子。
「どうして食べないの?」と悲しくなったり、周りの目が気になって焦ってしまったりしますよね。
「せっかく早起きして作ったのに」という寂しさと、
「このまま外で食べるのが苦手な子になったらどうしよう」という不安。
一生懸命なママだからこそ、胸がぎゅっと締め付けられるような気持ちになるのは当然のことです。
でも、まずは自分を責めないで、深呼吸をしてみましょう。
楽しみにしていた遠足なのに…お弁当を外で食べるのを嫌がる子どもの繊細な気持ち
保育園や幼稚園、小学校で待ちに待った遠足の日。
お気に入りのお弁当箱に、大好きなウインナーや玉子焼きを詰めて、ママも気合い十分で見送ったはずです。
それなのに、帰ってきたらお弁当が手つかずのままだったり、先生から「一口も食べないでずっと泣いていました」と聞かされたりしたら、ショックですよね。
「せっかく楽しみにしていたのにどうして?」と、やるせない気持ちになってしまうこともあるでしょう。
実は、子どもが外で食べるのを嫌がるというお悩みは、決して珍しいことではありません。
ネットの掲示板やSNSでも、「うちの子もピクニックに行くと全然お弁当を食べなくて困る」「外食すら嫌がる」という声をよく耳にします。
「どうしてせっかくのイベントを楽しんでくれないの?」と悩んでしまうかもしれませんが、子どもには子どもなりの、とても繊細な理由があるのです。
いつもと違う場所、いつもと違う座り心地の地面、そして四方八方から聞こえる賑やかな声。
そのような慣れない環境の中に身を置くだけで、感受性の強い子どもは心も体も緊張でガチガチになってしまいます。
私たち大人にとっては気持ちの良いピクニックでも、慎重で過敏な一面を持つ子どもにとっては、まるで未知のジャングルに放り出されたかのような緊張感を感じているのかもしれません。
ですから、お弁当を広げた瞬間にフリーズしてしまうのも、ある意味では自分を守るための精一杯の反応なのだと理解してあげたいですね。
なぜ食べないの?子どもが外でご飯を食べる時に不安になってしまう3つの原因
では、具体的に子どもたちは何に対して不安や苦手意識を感じているのでしょうか。
ただ「外が嫌い」という大雑把な理由ではなく、その裏には子どもが言葉にできない具体的な原因が隠されていることが多いのです。
まずはその「苦手」の正体を突き止めて、子どもの気持ちに共感してあげることが解決への近道となります。
1つ目の大きな原因は、「予測できない自然環境のハプニング」に対する恐怖心です。
外でご飯を食べているとき、ふと手元にやってくるアリや、空を飛ぶハチなどの虫を見て、強い恐怖を感じる子はとても多いものです。
また、急に吹く風でお弁当の蓋やシートがパタパタと音を立てたり、砂埃がお弁当に入りそうになったりする状況も、子どもを不安にさせます。
一度でも「風でコップが倒れてジュースがこぼれた」「食べようとしたら虫が飛んできた」という経験をすると、それがトラウマになって外でお弁当を食べることを怖がるようになるのです。
2つ目は、いつもと違う姿勢や視線の落ち着かなさです。
おうちの食卓であれば、背もたれのある椅子にしっかり腰掛けて、落ち着いた状態でご飯に集中できますよね。
しかし、遠足のときはグラグラするレジャーシートの上で、体育座りやあぐらの姿勢で食べなければなりません。
体幹がまだ未発達な子どもにとって、この「不安定な姿勢を維持しながら食べる」という行為は、実はとても疲れることなのです。
さらに、周囲のたくさんのお友達や先生の視線、飛び交う大きな声に圧倒されて、食事に集中するエネルギーが残っていない場合もあります。
3つ目は、慣れない環境による「精神的なキャパオーバー」です。
予定がいつもと違ったり、初めての場所に移動したりするだけで、頭の中はいっぱいいっぱいになってしまいます。
そんな中で「お弁当を綺麗に完食しなきゃ」「早く食べ終わらなきゃ」というプレッシャーが加わると、拒否反応を示して頑なに「食べない」という選択をしてしまうのです。
克服への第一歩!我が家が実践した「お庭ピクニック」での大成功体験談
実は、私の長男も幼い頃は、外でご飯を食べるのが大の苦手な子どもでした。
初めての幼稚園の遠足では、大好きなはずのおにぎりを一口も口にせず、レジャーシートの隅っこでシクシクと泣き続ける始末。
先生から「ずっと虫が来ないか心配そうにキョロキョロしていました」と報告を受け、私の胸は張り裂けそうになりました。
「このままでは次の遠足も台無しになってしまう」と焦った私は、まずは「おうちのベランダやお庭」から少しずつ慣らしていく作戦を実行することにしました。
外で食べるという大きなハードルを、できるだけ低くしてあげるためのスモールステップです。
最初は、いつも通りのリビングで、レジャーシートだけを敷いてお弁当を食べる「お部屋ピクニック」から始めました。
これだけでも子どもにとっては特別なイベントになり、「シートの上で食べるって楽しいね!」と大はしゃぎ。
部屋の中でシートに慣れたら、次は風通しの良いベランダや、自宅のお庭にシートを広げてみました。
お庭なら、もし途中で虫が怖くなったり、風が強く吹いたりしても、すぐに安心できるお部屋の中に逃げ込めます。
この「嫌になったらいつでも家に戻れる」という圧倒的な安心感が、子どもの張り詰めた緊張を優しくほぐしてくれました。
少しずつ外の風や光を浴びながらお弁当を食べる練習を重ねるうちに、子どもは外への恐怖心を克服していったのです。
このときに気をつけたのが、お庭でも必ず「虫よけを万全にしておく」ことでした。
スプレータイプの虫よけだけでなく、お気に入りのキャラクターが描かれた虫よけシールを服や靴下にたくさんペタペタと貼ってあげました。
「このシールがあるから、アリさんも蚊さんも絶対に近寄ってこないよ!」と、魔法のバリアのように語りかけると、子どもは目を輝かせて安心していました。
事前の「お庭ピクニック」で楽しいお外ご飯の思い出をたくさん作っておくことで、本番の遠足に対するドキドキをワクワクへと塗り替えることができたのです。
遠足当日を笑顔にする!外で食べるのを嫌がる子にぴったりなお弁当の工夫
外での環境に少しずつ慣れてきたら、次は当日の「お弁当」そのものにも優しい工夫を施してあげましょう。
遠足だからといって、手の込んだ豪華なおかずや、彩り豊かなキャラ弁を無理に作る必要は全くありません。
むしろ、お外が苦手な子に必要なのは、映えるお弁当ではなく、「極限までストレスなく、一瞬で食べ終われるお弁当」です。
お弁当作りの一番のポイントは、すぐに食べ終われるような一口サイズにすることです。
大きなおにぎりは食べるのに時間がかかり、風にさらされる時間も長くなってしまいます。
そこでおにぎりは一口でパクッと口に入れられるような「一口ミニおにぎり」にして、ラップで個包装するか、ピックを刺して直接手を汚さずに食べられるようにします。
おかずもフォークやピックで刺すだけで、ボロボロとこぼさずに食べられるサイズのウインナーや、一口大の唐揚げ、ミニトマトなどがおすすめです。
また、お弁当の中身は「100%子どもの大好物」だけで埋め尽くしてあげてください。
栄養バランスや野菜不足を心配して、普段あまり進んで食べないブロッコリーやニンジンを入れたくなる気持ちは分かりますが、遠足の日は例外です。
慣れない屋外での食事というだけで多大なエネルギーを使っているため、お弁当を開けた瞬間に「これ全部私の大好きなものだ!」と嬉しくなるようなメニューにしてあげましょう。
「全部自分で食べられた!」という確かな達成感こそが、外で食べるのが苦手な意識を消し去る一番の特効薬になります。
さらに、スプーンやフォークなどのカトラリーにも一工夫が必要です。
風でお弁当箱が動いてしまわないよう、滑り止めのついたシートを選んだり、お弁当箱自体を深く安定感のあるものにしたりするのも良いアイデアです。
子どもが「こぼしちゃうかも」という余計な心配をせずに済むよう、食べやすさを最優先に考えたお弁当をデザインしてあげてくださいね。
虫や風をブロック!遠足の「嫌だ!」を「楽しい!」に変えるお出かけ便利対策
お弁当の内容がバッチリ決まったら、最後はお外の「不快な要素」をできる限りシャットアウトする物理的なサポートグッズを準備しましょう。
子どものお出かけバッグに、少しの安心と快適さをプラスする便利アイテムを忍ばせておくだけで、現地のトラブルを未然に防ぐことができます。
まずは、外でご飯を食べる時の天敵である「虫対策」を徹底しましょう。
- ハーブの香りがする虫よけブレスレットを両手首につける
- 衣類用の虫よけスプレーを、お出かけ直前に背中やズボンの裾にしっかり吹きかける
- 万が一、虫が寄ってきたときのために、お弁当をさっと覆えるフードカバー(小さなネット状の傘など)を持たせる
これだけでも、子どもは「虫バリアが完成している」と強く実感でき、お弁当に集中できるようになります。
また、先生に「虫がとても苦手なので、できれば草むらの近くではなく、広々とした場所で食べさせてほしい」と事前に連絡帳などで伝えておくのも有効な方法です。
次に、不安定な場所でもお弁当をしっかりホールドするための「風対策」です。
お弁当箱の底に貼り付けて、机やレジャーシートの上で滑ったり動いたりするのを防ぐ「吸盤タイプの滑り止めシート」や、
「小さな折りたたみ式のローテーブル」を持たせるという先輩ママのアイデアもあります。
テーブルがあるだけで、地面からの虫の侵入も防げますし、お弁当や水筒が風で倒れる心配もグッと減ります。
「これがあればお弁当が倒れにくいよ」と伝えてあげることで、子どもも余計な緊張から解放され、安心してお弁当を楽しめるでしょう。
最後に、手が汚れたときにすぐに拭ける、お気に入りのキャラクターのウェットティッシュを多めに持たせてあげましょう。
手がベタベタするとそれだけでテンションが下がり、食べるのを嫌がる原因になります。
「汚れてもすぐにこの可愛いシートで拭けば大丈夫!」というお守りのようなアイテムがあるだけで、子どもの心がふわっと軽くなるのを感じられるはずです。
一歩ずつゆっくりで大丈夫!笑顔で「美味しいね」を共有できる日を楽しみに
初めての遠足で全然お弁当を食べられなかったとしても、どうか落ち込まないでくださいね。
「お友達はみんな楽しそうに食べているのに」と、焦ってしまう気持ちは本当によく分かります。
しかし、低学年や幼児期の成長のスピードは子ども一人ひとり全く違います。
外の刺激に対してとても敏感な時期は、一生続くわけではありません。
成長して体力がつき、お友達との関わりが深まるにつれて、「みんなと食べる楽しさ」が「外への苦手意識」を自然と追い越していく日が必ずやってきます。
今、お弁当を食べないからといって、将来ずっと外で食べるのが苦手な大人になるわけでは決してありません。
ママが愛情をたっぷり込めて作ったお弁当は、その場で食べられなくても、子どもの心に温かい安心感としてしっかり届いています。
「今日はお外で食べられなかったけど、おうちで一緒に食べようね」と、にっこり笑ってお家で遠足の続きをすれば良いのです。
無理に食べさせようとせず、スモールステップで少しずつ「美味しいね」という体験を積み重ねていきましょう。
いつか、気持ちのいい青空の下で、お子様と一緒に心から笑ってお弁当を囲めるように。
今回ご紹介した工夫が、親子で安心してお弁当の時間を楽しむためのヒントになれば幸いです。

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